日本薬理学雑誌
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実験的潰瘍の防御因子に関する研究(第2報) ラットの酢酸潰瘍におけるAceglutamide aluminumの防御因子増強作用
伊藤 幹雄横地 英治小林 史子鈴木 良雄
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1982 年 79 巻 4 号 p. 327-334

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抄録

ラット胃体部漿膜下の2ケ所に20%酢酸をおのおの0.05mlずつ注入することにより,重症の潰瘍を惹起させ,潰瘍領域のmucosaおよびstroma中のhexosamine,sialic acid,uronic acidおよびhydroxyproline含量に対するaceglutamide aluminumの効果をL-glutamineの効果と比較検討した.aceglutamide aluminum(1000mg/kg×2/day)を手術の日から4日目までp.o.投与し5日目に薬効を評価した時,この薬物は潰瘍指数を18%,潰瘍部穿孔を66%抑制した.また潰瘍領域のmucosa中のhexosamine,sialic acidおよびuronic acidの総含量(μg/潰瘍領域/ラット)を著明に増加させ,特にsialic acidにおいてはその濃度(μg/100mg乾燥組織)も有意に増加させた.一方stromaではhydroxyprolineを含めてこれら組織構成成分含量はこの薬物によってほとんど影響を受けなかった.aceglutamidealuminum(1000mg/kg×2/day)を手術の日から14日目までp.o.投与し15日目に評価した場合,4日間投与の場合に比べてより著明な効果を示し,潰瘍指数を37%,そして潰瘍部穿孔を完全に抑制した.またmucosa中のhexosamine,sialic acidおよびuronic acid濃度および総含量を著明に増加させ,特にsialic acid含量を最も強く増加させた.さらにこの薬物はmucosaの場合よりは軽度であるが,stromaにおいてhexosamine,sialic acidおよびuronic acidの濃度および総含量,hydroxyprolineの総含量を有意に増加させた.aceglutamide aluminumの以上の効果はL-glutamineよりもはるかに強力であった.以上の結果から,この薬物は潰瘍領域において粘液および肉芽組織構成成分を増加させ,防御因子を増強することにより潰瘍治癒を促進するものと思われる.

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