日本薬理学雑誌
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精製抗軟骨および抗上皮小体抗体の軟骨組織に対するIn vitroでの組織結合性反応
永富 光光広 茂夫荻田 忠厚水島 裕
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1981 年 78 巻 2 号 p. 63-70

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抄録

新しく開発された変形性関節症治療剤, Artroglobina (AG) より精製した特異抗体を用いて種々の軟骨組織に対する組織結合活性を検討した.ブタ肝臓および筋肉ホモジネートで吸収処理した精製物異抗体はブタ心臓組織に対して結合性を示さないが,ブタ軟骨組織に対して有意の結合活性を示した.同じく,精製特異抗体はラットおよびニワトリの軟骨組織に対しても有意の結合性を示した.さらに,ヒト軟骨組織に対して同様の結合性反応を認めた.しかし予め,ブタあるいはヒト軟骨組織で吸収処理を行なうと,ヒト軟骨組織に対する結合活性は完全に消失した.この様に, in vitroの組織結合性試験では,精製特異抗体は動物の軟骨組織ばかりでなくヒト軟骨組織に対して有意な結合性を示すことが明らかにされた.従って,臨床面におけるAG坐剤投与による変形性関節症患者の治療では,軟骨組織に対する同様の組織結合反応が予想される.

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