日本薬理学雑誌
Online ISSN : 1347-8397
Print ISSN : 0015-5691
ISSN-L : 0015-5691
特集:過敏性亢進を標的とした新しいアレルギー疾患治療戦略
アレルギー性気道反応におけるニューロペプチドYの役割
宮原 信明
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 155 巻 6 号 p. 360-363

詳細
抄録

気管支喘息は気道過敏性の亢進,気道狭窄を特徴とする慢性の気道炎症性疾患であり,その病態形成には極めて多様な因子が関与しており,未だ不明な点が多い.ストレスと喘息の発症や増悪の関連が以前から知られているが,神経ペプチドの一種であるneuropeptide Y(NPY)は,交感神経系を介してストレスに大きく関与しており,また免疫系にも深く関わっており,T細胞やマクロファージなどからのメディエーター放出を調節している等の報告もあることから,気管支喘息の病態においてもNPYが重要な役割を果たしていると考えられる.気管支喘息患者の血漿中でのNPY濃度上昇が報告されており,またNPYの遺伝子多型と喘息の関連も示唆されている.マウスを用いたアレルギー性気道炎症モデルの解析では,NPYとその受容体であるY1受容体がアレルギー性気道炎症や気道過敏性亢進に重要な役割を担っていることを筆者や他の研究者らが報告してきた.このNPY-Y1受容体経路の制御が新たな喘息治療の戦略として期待される.

著者関連情報
© 2020 公益社団法人 日本薬理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top