近年,明確な原因が特定できずに持続する咳嗽に苦しむ成人の患者が増加してきている.それらの原因疾患の1つに喉頭アレルギーが上げられる.欧米での喉頭アレルギーの歴史は古く1950年ごろから文献報告があり,1970年代には総説も出されているが,本邦での歴史は浅い.肺に明確な原因となる所見のない成人の咳で,喉頭アレルギーと鑑別すべき疾患は,アトピー咳嗽,咳喘息,後鼻漏症候群,胃食道逆流症,かぜ症候群後遷延性咳嗽,薬剤誘発性咳嗽などが上げられる.そのため,最近「慢性咳嗽の診断と治療に関する指針:2005年度版」が出版され,それらの鑑別診断などが詳細に示されている.しかし,これらの持続する慢性咳嗽症例を診断治療する上で,最も注意しなければならないことは,見逃すと大きな問題となる重篤な気道疾患(肺門部癌,気管支結核,喉頭癌,上顎癌などの除外を忘れないことである.