日本薬理学雑誌
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ニューキノロン抗菌薬エノキサシンと非ステロイド系抗炎症薬フェンブフェンとの併用による痙攣に対する薬物の効果
原 幸男Ahmmed ALLY鈴木 俊雄村山 智
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1992 年 100 巻 4 号 p. 301-305

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抄録

ニューキノロン抗菌薬エノキサシンと非ステロイド系抗炎症薬フェンブフェンを併用した際に起こる痙攣に対する薬物の効果をマウスで検討した.フェンブフェン100mg/kgの経口投与5分後にニューキノロン抗菌薬エノキサシン30または100mg/kgを経口投与すると,痙攣が発現し,死亡した.この痙攣はフェノバルビタール,フェニトイン,バルプロ酸,モルヒネの前処置では抑制されなかった,大量のジアゼパム,クロナゼパムの前処置では生存時間が著明に延長したが,結局は全例死亡した.フェンブフェンとエノキサシンの併用で痙攣の発現を確認した後,興奮性アミノ酸受容体拮抗薬MK-8011mg/kgを静脈内処置すると生存時間が著明に延長したが,やはり全例死亡した.MK-801と少量のジアゼパムを組み合わせて投与すると,生存時間は各々単独より延長したが,結局は全例死亡した.以上の結果より,フェンブフェンとエノキサシンの併用で起こる痙攣に対するGABA作動系と興奮性アミノ酸系の関与を考察した.

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