2015 年 41 巻 1 号 p. 1-10
1000 mL屋根型紙容器へ牛乳を充填する過程における詳細な流動メカニズムを把握するために,Volume-of-Fluid(VOF)法による2次元数値解析を行った.本研究では,牛乳の流体物性を実測し,牛乳の流動挙動を解明するうえで重要な知見であるレオロジー特性について,牛乳はShear-thinning性を持つ純粘性非ニュートン流体であることを確認した.数値解析では,牛乳の粘度特性をCarreu–Yasudaモデルによりモデル化し,牛乳の充填過程の流動操作条件を解析条件に忠実に反映させた.解析結果から,牛乳の充填過程において牛乳の粘度は局所的に大きく変化し,紙容器内では複雑な粘度分布が形成されることがわかった.これにより牛乳の有するShear-thinning性が流動現象に大きく影響を及ぼすことが明らかになった.また,ニュートン流体を仮定した解析結果との比較により,牛乳の流動挙動の特徴をより明白に示すとともに,その相違を議論した.牛乳の流動現象評価を行ううえで,Shear-thinning性を無視することができず,局所変化するShear-thinning性を把握するためには,数値解析評価が有用となることが示された.