化学工学論文集
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熱工学
エマルジョン燃料液滴の内部挙動および最適調製条件に関する数値解析的検討
鈴木 芳行鎌田 美志原田 拓自庄子 正和松下 洋介青木 秀之三浦 隆利
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2011 年 37 巻 2 号 p. 167-174

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抄録

現在,窒素酸化物やすすといった環境汚染物質の同時排出削減法として,エマルジョン燃料の研究が行われている.加熱過程におけるエマルジョン燃料液滴では,蒸気吹き出し(puffing)およびミクロ爆発といった2次微粒化現象が発生することが知られている.さらに,液滴内部における油中水滴の凝集および合一の促進に伴い,2次微粒化が促進されることも報告されている.しかしながら,2次微粒化挙動の詳細が解明されているとは言い難く,液滴内部挙動をより詳細に検討するために,数値解析を用いて検討する必要があると考えられる.本研究では,エマルジョン燃料液滴内部の混相流解析を目的とし,Euler–Euler法を用いて,加熱過程におけるエマルジョン燃料液滴内部挙動の評価を行った.また,得られた解析結果および気泡核生成理論を用いて,最適調製条件を検討した.その結果,Euler–Euler法を用いてエマルジョン燃料液滴内部の混相流解析を行うことにより,液滴内部の温度分布および体積分率分布が表現可能であることが示された.また,温度履歴における実験値および計算値が良好に一致し,Euler–Euler法による混相流解析の有用性が示された.数値解析および気泡核生成理論を用いることにより,ミクロ爆発発生において,含水率20 vol%程度に最適な含水率が存在することが示唆された.

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© 2011 公益社団法人 化学工学会
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