化学工学論文集
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安全, 環境, エネルギー
架橋リグノスルホン酸の金属イオン吸着挙動
井上 勝利大渡 啓介大島 達也大西 沙耶香牧野 賢次郎
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2004 年 30 巻 6 号 p. 822-825

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抄録

パルプの製造においてほとんど廃棄物同然の価値の低い副産物として発生するリグノスルホン酸をホルムアルデヒドで架橋することにより吸着剤を調製した. 滴定により測定した吸着剤中の陽イオン交換性の水素イオンの量は4.83mol/kg-dry gelであった. その多くは吸着剤のフェノール性水酸基によるものと考えられる.
いくつかの金属イオンの吸着に対するpHの効果と吸着等温線を明らかにするためにバッチの吸着実験を行った. 吸着はpH>2において起こり, pHの増加とともに増加した. これは金属陽イオンが陽イオン交換反応により吸着されていることによると考えられる. 吸着される金属イオンの選択性の序列は以下のとおりである. La(III)>Pb(II)~Fe(III)>Fe(II)~Cu(II)~Al(III)>Cd(II)~Ni(II)>Mn(II)~Zn(II). 吸着等温線はLangmuir型であり, 銅 (II), 鉛 (II), およびランタン (III) イオンに対する飽和吸着量はそれぞれ0.86, 0.76および0.47mol/kg-dry gelであった.
本吸着剤の工業的利用を考えて鉛 (II) と亜鉛 (II) の相互分離実験を吸着剤を充填したカラムを用いて行った. 亜鉛からの鉛の満足すべき分離が達成され, 亜鉛メッキ浴からの不純物の鉛の除去等の工業的利用の可能性が示された.

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© 2004 公益社団法人 化学工学会
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