化学工学論文集
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安全,環境,エネルギー
都市ごみ焼却過程におけるNaCl-CO2-H2OおよびCaCl2-CO2-H2O反応系からのHCl生成特性
成瀬 憲政小澤 祥二小島 義弘棚橋 尚貴松田 仁樹柳瀬 哲也
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2004 年 30 巻 5 号 p. 726-731

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抄録

都市ごみに含まれるNaCl, CaCl2のCO2-H2O雰囲気下でのHCl発生挙動を調べた. 実験は粒径75-125 μmのNaCl, CaCl2を用いてガス流通式反応器内で温度623-1023 K, CO2濃度2.5-15 vol%, H2O濃度2.5-15 vol%, N2-balanceの条件で行った.
その結果, NaClは623-723 Kではいずれのガス濃度においてもHClの発生は認められなかったが, CaCl2は623 K以上においてHClの発生を認めた. CaCl2およびNaClからのHCl放出速度は反応温度の上昇ならびにCO2およびH2O濃度の増加に伴って増大した.
反応後の固体試料のSEM/EDS分析によるC, O, Cl元素の表面分布ならびにCHNコーダを用いてCの定量を行った結果, NaClからのHCl放出はCO2-H2OによるNa2CO3生成によって起こることが認められた. 同様にCaCl2は923 K以下ではCO2-H2OによるCaCO3の生成反応過程でHClを放出することが認められた. 一方, CaCl2は923 K以上ではH2Oとの反応によるCaO生成過程においてHClを放出することが確認された.

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© 2004 公益社団法人 化学工学会
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