都市ごみに含まれるNaCl, CaCl2のCO2-H2O雰囲気下でのHCl発生挙動を調べた. 実験は粒径75-125 μmのNaCl, CaCl2を用いてガス流通式反応器内で温度623-1023 K, CO2濃度2.5-15 vol%, H2O濃度2.5-15 vol%, N2-balanceの条件で行った.
その結果, NaClは623-723 Kではいずれのガス濃度においてもHClの発生は認められなかったが, CaCl2は623 K以上においてHClの発生を認めた. CaCl2およびNaClからのHCl放出速度は反応温度の上昇ならびにCO2およびH2O濃度の増加に伴って増大した.
反応後の固体試料のSEM/EDS分析によるC, O, Cl元素の表面分布ならびにCHNコーダを用いてCの定量を行った結果, NaClからのHCl放出はCO2-H2OによるNa2CO3生成によって起こることが認められた. 同様にCaCl2は923 K以下ではCO2-H2OによるCaCO3の生成反応過程でHClを放出することが認められた. 一方, CaCl2は923 K以上ではH2Oとの反応によるCaO生成過程においてHClを放出することが確認された.