化学工学論文集
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直接苛性化プロセスにおける鉄鉱石を流動媒体および反応剤とする高温気泡流動層の開発
永井 千秋
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2000 年 26 巻 6 号 p. 823-829

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抄録

製紙パルプ廃液からの苛性ソーダの回収の省エネルギー化を達成するために, 従来の薬液複分解によらない, 直接苛性化プロセスを提案し, その主要装置である流動層方式高温反応装置の開発を実施した. このプロセスでは, パルプ廃液に含まれる炭酸ナトリウムを高温で高純度鉄鉱石と反応させフェライトを生成し, 加水分解で苛性ソーダを回収するもので, 生成鉄酸ナトリウムを加水分解し, 乾燥工程を経て鉄鉱石をリサイクル使用することに特徴を有する. 本研究では, 500mm角流動層よりなる高温反応装置を連続運転することにより, 反応装置の好適な操作条件, 運転特性ならびに反応特性を明らかにした. その結果, 0.2~1mmの高純度鉄鉱石を流動媒体・反応剤として気泡流動層を形成し, 1, 173~1, 273Kでパルプ廃液中の有機分を燃焼させ, 廃液中の炭酸ナトリウムを鉄鉱石と反応させるのが好適であることを示した. また, 鉄鉱石を流動層にリサイクルする際, 流動層高維持のため0.2mmアンダー粒径の粉状物の一部を造粒して供給した. 流動層の定常運転には, 粉状物を最低限で約50%造粒することが有効であることを, 500mm角流動層の40時間連続運転で示した.

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