2000 年 26 巻 6 号 p. 785-791
環状赤外線放射加熱炉の加熱分布を直接レイトレース法により解析し, 反射鏡の役割と基板の反射率の影響などを考察した. 環状赤外線光源に沿って設けられた円筒鏡は光源直下の赤外線吸収量を増大させるだけでなく, 円筒鏡に沿って同心円状に赤外線吸収効率を増大させ, 同心円状の基板の赤外線吸収量分布の均一性を向上させる働きをしていると考えられる. 更に, 光源に隣接する円筒鏡だけでなく, その外側の円筒鏡によっても赤外線吸収効率が向上されることが把握された. 基板の反射率が大きくなると共に, そして光源と基板の距離の増大と共に赤外線吸収量は減少し, 赤外線吸収量分布はなだらかになることが把握された. 熱による基板からの放射光は, 放射光が発した位置の近傍に戻るものが多く, 基板の外周ほど加熱炉外へ逃げ易いことが計算により定量的に確認された.