傾斜平板上を流下する液膜へのCO2の吸収実験を液膜が乱れを伴う領域を含む条件下で行い, また液膜の表面流速および液膜厚みを測定して, 物質移動速度と液膜の流動状態に関与する主要因子との関係について検討した.
液膜の流れ方向の濃度が急激に増加する位置が認められ, その位置は波立ちの発生位置とほぼ一致した.
流下初期の層流域の物質移動速度は, 加速域の表面流速の変化を考慮した気-液接触時間を用いれば, 浸透モデルによってかなり良く推算できる.
乱れのある領域においては, 液本体の濃度変化を考慮した表面更新モデルによって, 流れ方向のCO2濃度の実測値より表面更新率を求めた.表面更新率S'と流量および傾斜角との間に規則的な関係があり, それらの因子は修正St数とReL数の無次元数で表された.