化学工学論文集
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集塵用濾布性能の基礎実験
森 康維久堀 保石塚 昌義牧野 和孝井伊谷 鋼一
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1979 年 5 巻 5 号 p. 506-512

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抄録

濾布集塵は, 代表的な高性能乾式集塵の一つであるが, その基礎的な研究は少ない.本報では, 9種類の濾布と3種類の炭酸カルシウム粉塵を用いて, 織濾布とフェルト濾布の集塵性能の比較, および未使用濾布と使用済み濾布の性能の比較を実験的に検討し, 次の結論が得られた.
1) 圧力損失は, フェルト濾布では粉塵負荷にほぼ比例するが, 織濾布では低粉塵負荷で急上昇した後, 中高粉塵負荷で粉塵負荷に比例する.
2) 圧力損失は濾過速度の1より大きいべき乗に比例する.
3) 同一粉塵負荷での圧力損失と濾過速度とは, 粉塵層の圧密や崩壊現象のため, ヒステリシス関係を示すことは, 従来の結果と同様である.
4) 比較的低い濾過速度では, 濾布の種類によらず, 中高粉塵負荷域でほぼ完全捕集となるが, 濾過速度が速くなるほど, 積算および瞬間通過率は大きくなる.
5) 3μm以上の通過粒子は, きわめて短時間の集塵で激減するが, 2μm以下は, 局所的な粉濾層の崩壊のため, 比較的長期間通過する.
6) 使用済み濾布と未使用濾布の圧力損失特性は, ほとんど変わらないが, 集塵率は使用済み濾布の方がよい.

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