日本化學雜誌
Online ISSN : 2185-0917
Print ISSN : 0369-5387
ISSN-L : 0369-5387
酢酸エチル加水分解反応におよぼす界面活性剤の効果
佐伯 幸民吉実 弘根来 健二
著者情報
ジャーナル フリー

1968 年 89 巻 12 号 p. 1183-1187

詳細
抄録

均一相(水15%,エタノール85%),不均一相(水15%,ベンゼソ85%)中,25,40,55℃ で酢酸エチルの加水分解の動力学を種々の界面活性剤存在下に研究し,速度定数(Kobs),活性化エネルギー(EA),活性化エントロピー(ΔSA),活性化エンタルピー(ΔHA),活性化自由エネルギー(ΔFA)と反応のlogPZを活性剤の形おまび濃度について求めた。
一般に活性剤添加により,加水分解速度は増犬する。これに関連して反応のEA,ΔSA,ΔHAならびにlogPZは低下するが,一方,ΔFAは変化しない。しかしながらCMC以上の活性剤濃度を用いた場合,反応に対する上述の効果は明らかに減ずる。均一相ではlogEAとlogCMCの間に直線関係が存在し,その結果y活性剤は酸,塩基または塩として作用するのみでなく,荷電の形および活性剤のミセル形成によって反応に影響する。このことは,遷移状態で反応物と活性剤の間で活性剤無添加の場合より荷電数を増した新しい活性錯合体が形成されることを示す。このような点で,非イオン活性剤は分子が電荷をもたないため反応に対する効果が小さい。
不均一相では,活性剤の効果は均一相の場合より大きく,logEAとlogCMCの間の直線関係も存在しない。したがって上述の効県以外に分散,乳化などの効果あ存在が予想される。

著者関連情報

この記事は最新の被引用情報を取得できません。

© The Chemical Society of Japan
前の記事 次の記事
feedback
Top