工業化学雑誌
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示差熱解析による市販パラフィンワックスの相変化
川崎 成武小水 秀男内田 隆
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1966 年 69 巻 7 号 p. 1315-1319

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抄録

ワックスを熱媒体として海水の塩水転換に利用するための基礎研究の一つとして,示差熱解析により,8種類の市販パラフィンワックスについて,その相変化を調べてみた。
ワックスの示差熱曲線は一般に,融解と結晶転位による前融解との熱異常性を示す二つのピークを示した。示差熱解析の結果,ワックスの相変化における各温度ならびにそれに要する熱量とを次のように見出した。
1)示差熱曲線の融解ピーク点における温度は,ワックスの平均炭素数に相当するノルマルパラフィンの融点と転移点(前融解点)との温度の間にあった。ワックスの前融解現象はノルマルパラフィンの転移温度よりもかなり低い温度にて開始した。また前融解と融解との現象は広い温度範囲にて生じた。
2)測定されたワックスの融解熱は36から44cal/gの範囲にあった。この値はC24からC30の純粋ノルマルパラフィンの融解熱にほぼ近い値である。しかし前融解熱はおもに14から22cal/gの範囲にあり,ノルマルパラフィンの前融解熱よりも低い値であった。

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