日本化学会誌(化学と工業化学)
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電極酸化法を用いるビス(4-ニトロフェニル)スルホンおよびビス(4-ニトロフェニル)スルホキシドの新規合成法
西口 郁三内匠 仁戸田 實平嶋 恒亮
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1984 年 1984 巻 11 号 p. 1838-1841

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抄録

本研究においては,安価で入手がきわめて容易なビス(4-ニトロフェニル)スルフィドの塩化水素を支持電解質に用いた酢酸水液中での電極酸化反応により,工業的に有用性の高いビス(4-ニトロフェニル)スルホンを簡便にかつ高収率で得ることのできる新規合成法を開発した。本方法では,反応後混合物を炉過す為だけで99,9%以上の高純度の生成物スルホンを簡便にかっほぼ定量的な収率で取り出すことができ,しかも炉液はふたたび反応溶媒として10回以上にわたってくり返し用しても,生成物の純度や収率にさほどの影響をおよぼさないという,工業的な見地からみて大きな利点を有している。本電極酸化反応は低電流密度の条件でも,また出発原料がほとんど溶解しない塩酸水溶液中ですら,順調に進行する。さらに興味深いことには,過塩素酸や硫酸などの鉱酸を支持電解質と用いた場合には,対応するスルホキシドだけが単離され,スルホンはほとんど得られなかった。これらの事実から,本反応では,塩化水素の電極酸化により発生する活性な塩素系酸化剤(塩素,次亜塩素酸または-酸化二塩素)による化学酸化によりおそらく進行していると思われる。

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