日本化學雜誌
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酸化マグネシウム-酸化アルミニウムの物理化学的性質と構造
富田 茂男玖村 照彦服部 英田部 浩三
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1971 年 92 巻 6 号 p. 514-519

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抄録

アルミニウムとマグネシウムの組成比の異なる数種の二元酸化物を,炭酸ナトリウムおよび水酸化ナトリウム水溶液中でアルミニウムとマグネシウムの塩から合成して得たハイドロタルサイトを300-900°Cで焼成することにより調製した。これらの二元酸化物の酸塩基性質および還元性質を測定し,表面積,示差熱テンビン分析,X線回折および赤外吸収スペクトルの結果から物理的性質を検討した。酸強度は弱く,H0=+4.8程度であり,その強度の酸量は焼成温度の上昇とともに増大し,組成比に関してはMg/Alの比が3のとき極大値を示す。他方,塩基強度は強く(H-=17.2),塩基量も1.4mmol/gといういちじるしく大きい値を示し,焼成温度500°Cのとき極大となり,Mg/Alの比によって複雑に変化することを見いだした。また還元性も有し,その量は排気処理によっていちじるしく増大することを認めた。ハイドロタルサイト中に含まれている二酸化炭素の結合状態は組成により異なり,Mg/Alの比が大きくなるにしたがって二座型結合から一座型結合に変わることが認められた。また,Mg/Alの比が大きくなると,混晶を形成していない酸化マグネシウムの表面に見られる水酸基の吸収が観測された。X線回折によると,Mg/Alの比のかなり広い範囲にわたりハイドロタルサイトの混晶が形成され,これを焼成して得られる二元酸化物中に含まれる酸化マグネシウムの結晶は,水酸化マグネシウムを焼成して得られた酸化マグネシウムにくらべていちじるしく小さい。

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