工業化学雑誌
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含酵素マイクロカプセル
北島 昌夫宮野 静夫近藤 朝士
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1969 年 72 巻 2 号 p. 493-499

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抄録

カタラーゼ,ウレアーゼ,リパーゼ,ヘモリゼートなどの酵素水溶液を,ポリスチレン,シリコーン誘導体,エチルセルローズなどの合成高分子よりなる,粒径数百ミクロンの半透膜球中に封入したマイクロカプセルをつくり,酵素活性その他の性質を調べた。
操作中の酵素の失活をさけて,マイクロカプセル化は反応性試薬を全く用いない水中乾燥法によった。その結果,カタラーゼについては,カプセル化後も未処理の場合の約70%の活性が保持されていること,反応速度はほぼカプセル量に比例することなどが分った。ウレアーゼでは,サムナー単位/gが1.75×104であった酵素を用いて3.1×103のものが得られた。リパーゼでは低分子量基質に対しては有効であったが,高級脂肪酸エステルに対しては分解活性を示さなかった。ヘモリゼートカプセルも過酸化水素分解活性を示し,酵素液としてそのまま利用し得ることが分った。これらは反応系からの回収が容易であって,くり返して反応に利用できる。
マイクロカプセル化酵素を用いた反応では,酵素反応そのものには何の変化もないが,膜の透過性および反応系において酵素が局在すること,などの効果が大きいことが分った。

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