工業化学雑誌
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分析化学におけるオニウム化合物の適用に関する研究(第13報)テトラフェニル・アルソニウム・クロリドの数種金属イオンに対するポーラログラフ的挙動
品川 睦明松尾 博中島 史登
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1957 年 60 巻 11 号 p. 1409-1412

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抄録

本研究はオニウム化合物の有機試薬的効用に関する研究の一環として行ったものである。テトラフェニル・アルソニウム・クロリド(C6H5)4AsClを合成し,このポーラログラフ的挙動をしらべた。このポーラログラムは0.1N塩化カリ支持電解質,対飽和甘コウ電極においで1段の還元波を示す。その半波電位は-1.42Vであり,pH変化により変動しない。またこの還元波は拡散律速によるものであり,1×10-4~1×10-2mol/lの範囲においては,その濃度と波高との間に比例的関係が認められた。(C6H5)4AsClは水溶液中では解離して有機陽イオンを与えるので,各種金属イオンにヨウ化カリ,ロダンカリ,シアン化カリのような錯化剤を作用させて金属錯陰イオンを形成させ,これと試薬との反応をしらべた。そのうちビスマス,カドミウム,水銀はポーラログラフ的に完全沈殿することを認めたので,これらの電流滴定を試み,それぞれ±2%,±3%,±3%の誤差内で定量が可能なることを認めた。

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