「科学技術」という言葉は,現在では広く日本社会に定着し,普通に使われる言葉となっているが,日本語としては比較的新しく登場した言葉である。他方,この言葉には独特の語感があることから,あえてこの言葉の使用を避けようとする識者もいるなど,時折論議の対象となる言葉でもあった。本稿においては,「科学技術」という言葉のもともとの意味は何であったのか,どのような時代背景の下で日本社会に登場してきたのかを探るとともに,これまでこの言葉が使われてきた状況の中から,この言葉が獲得するに至った語感とその現代的な意義について検討する。