Progress of Digestive Endoscopy
Online ISSN : 2187-4999
Print ISSN : 1348-9844
ISSN-L : 1348-9844
原著
大腸憩室出血に対する内視鏡的止血法の治療成績
川岸 加奈小林 清典金澤 潤齋藤 友哉松本 育宏別當 朋広迎 美幸横山 薫佐田 美和小泉 和三郎
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 96 巻 1 号 p. 30-34

詳細
抄録

【目的】大腸憩室出血に対する内視鏡止血法の治療成績を明らかにする.

【方法】大腸憩室出血のなかで大腸内視鏡(CS)で出血憩室を特定し内視鏡的止血法を行った122例を対象とした.対象の背景因子や内視鏡止血法の治療成績について検討した.

【結果】1)平均年齢は66.3±12.0歳,性別は男性90例,女性32例.基礎疾患は91例(75%)で認め,59例(48%)が抗血栓薬やNSAIDsを内服していた.2)出血憩室と特定したCS所見は,活動性出血が106例(87%),露出血管11例(9%)などであった.出血当日から翌日にCS施行の89例中81例(91%)で活動性出血を確認でき,それ以降にCS施行の33例中25例(76%)より高頻度であった(p<0.027).3)内視鏡止血法は,クリップ法が119例(98%)で多くを占めた.活動性出血を認めた106例での内視鏡的一次止血率は97%(103例)であった.内視鏡的止血法施行後の早期再出血は21例(18%)で認め,18例は内視鏡的止血に成功したが3例は緊急手術を要した.

【結論】大腸憩室出血は,出血後早期にCSを行うことが活動性出血の確認に必要である.クリップ法による内視鏡的止血法は一次止血には有効であるが,再出血が多いことが問題である.

著者関連情報
© 2020 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
次の記事
feedback
Top