理科教育学研究
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原著論文
国際教育協力のための探究学習の指導に必要な教師の知識の解明
―フィリピン小学校理科教員の授業観察に基づいて―
畑中 敏伸
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2017 年 58 巻 1 号 p. 55-64

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抄録

開発途上国の教育の質的な向上のため学習者中心の教育が重視されること, 国際教育協力で日本の教育経験が重視されること, フィリピンの教育での探究学習の重視を考慮し, 本研究では教師が構造化された探究学習を指導する際に必要な教師の知識の解明を目的とした。調査分析の枠組みは, 授業に必要な知識であるPCKに関する文献レビューより設定した。フィールド調査は, フィリピン小学校理科教員を対象として, 理科の実験を含む教授学習内容に関する研修を行った後に, 研修参加者の行う理科授業を観察し分析した。その結果, 構造化された探究授業を教師が行うために, PCKの構成要素である, 児童・生徒の理解に関する知識, 指導方法に関する知識, 評価に関する知識, について教師に必要とされる知識を明らかにした。それらの知識は, 実験で探るべき問いの提示, 実験方法の提示, 実験結果から結論を導く, という探究授業の3つそれぞれの場面に分けて具体的に示した。

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© 2017 日本理科教育学会
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