外科と代謝・栄養
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日本外科代謝栄養学会評議員在籍施設における周術期管理の現状
海堀 昌樹石橋 生哉谷口 英喜深柄 和彦若林 秀隆鷲澤 尚宏宮田 剛
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キーワード: 周術期管理, ERAS, ESSENSE
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2014 年 48 巻 2 号 p. 69-80

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抄録

【目的】Enhanced Recovery After Surgery(ERAS)を,われわれは本邦の周術期管理に沿う ESsential Strategy for Early Normalization after Surgery with patient's Excellent satisfaction(ESSENSE)として消化器外科各領域にプログラム導入を検討している.今回,日本外科代謝栄養学会において術後回復促進プロジェクトを推進するにあたり,同学会評議員在籍施設での周術期管理アンケート調査を行った.【方法】同学会評議員在籍 116 施設(評議員数 159 人)に対して紙面によるアンケート調査を行った.対象術式は食道,胃,結腸,直腸切除,腹腔鏡下胆嚢摘出,肝切除,膵頭十二指腸切除とした.【結果】アンケート回収率 40%.1.「ERAS 術後回復促進策を知っていたか?」に対して 81% が知っており支持していると回答.2. 「ESSENSE という取り組みを知っているか?」67% 知っている. 3.「術前腸管洗浄をルーチンに実施しているか?」44% が実施. 4. 「術前絶飲はいつから?」40% 麻酔導入 2・3 時間前,5. 「術前絶食はいつから?」62% 麻酔導入 12 時間以上前,6.「術前2時間前までに経口補水を行っているか?」77% 何もせず,7.「早期離床について具体的なプロトコールがあるか?」47% プロトコールはなく,個々に対応,8.「術後経口摂取再開時期について(飲水:固形食開始日の最多日数)」食道切除 7:7 日,胃全摘 3:5 日,結腸切除 1:3 日,直腸切除(人工肛門なし)1:5 日,肝切除 1:2 日,膵頭十二指腸切除 1:7 日であった.9.「術後回復促進策を取り組む上での障害は何か?」44% 医師の問題意識欠如であった.【考察】評議員における術後早期回復プログラムの認識は既に高いものと思われたが,各施設での実施率は必ずしも高いとは言えない現状であった.

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© 2014 日本外科代謝栄養学会
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