2007 年 43 巻 2 号 p. 43-49
ポリ塩化ビニル/ポリビニルアルコールの溶融ブレンドについて,成分の予備混合法と分散性の関係を検討した。ケン化度98mol%のポリビニルアルコールの場合,両成分の粉末を混合してから溶融混練する通常の添加方法(粉末添加法)では,ポリビニルアルコールは最大,数100μmのドメインとして分散してした。これに対してポリビニルアルコールの水溶液を作製し,これにポリ塩化ビニルの粉末を混合してから乾燥し,粉砕後溶融ブレンドする添加方法(水溶液添加法)では,ドメインサイズはサブμmから数μmで.著しく微細化していた。ケン化度88mol%およびそれ以下のポリビニルアルコールの場合,粉末添加法,水溶液添加法ともにドメインサイズは数μmから数10μmで,予備混合法の影響はなかった。第3成分としてポリメタクリル酸メチルを加えると,粉末添加法,水溶液添加法ともにドメインサイズは数μmに微細化した。これらブレンドの動的粘弾性測定から,分散状態と成分間の相互作用について考察した。