The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
Print ISSN : 0368-2781
ISSN-L : 0368-2781
14C標識 (±)-7-(3-Amino-1-pyrrolidiny1)-6-fluoro-1-(2, 4-difluorophenyl)-1, 4-dihydro-4-oxo-1, 8-naphthyridine-3-carboxylic acid ρ-toluenesulfonate hydrate (14C-T-3262) のラット及びマウスにおける吸収, 分布及び排泄
前田 豊男酒井 広志早川 大善林 清範米田 清美
著者情報
ジャーナル フリー

1989 年 42 巻 4 号 p. 854-867

詳細
抄録

ラット及びマウスにおける吸収, 分布及び排泄について14C-T-3262を用いて検討し, 以下の知見を得た。
1. ラットでは14C-T-3262は十二指腸のような小腸上部で吸収された。
2. ラットに14C-T-3262を経口投与した場合, 投与1時間後に最高血中濃度に達し, 以後, 緩やかに消失した。
3. 14C-T-3262をラット及びマウスに経口投与した場合の尿中排泄率は, ラットでは約35%であり, マウスでは約42%であった。又, 糞中排泄率はラットで約65%であり, マウスでは約56%であつた。
4. ラットに14C-T-3262を経口投与した時の胆汁中排泄率は約27%であり, その約半分量は小腸から再吸収された。
5. 14C-T-3262投与後の臓器及び組織内濃度は, 胃, 小腸を除く臓器及び組織の中で, 腎臓, 肝臓が最も高かつた。その他, 脾臓, 副腎, 膵臓, 肺, 心臓, 胸腺など広く全身に分布した。しかし, 脳への移行は少なかった。
6. 全身オートラジオグラフィーにより, 正常マウス及び妊娠マウスに14C-T-3262を投与した場合の分布について検討した。放射能は脳, 脊髄, 眼球以外の全身に広く分布していることが認められた。妊娠マウスにおける胎仔への移行は母体の血中濃度と同程度であつた。
7. 14C-T-3262のラット及びマウス血清蛋白に対する結合率は63~66%であつた。
8. マウスに14C-T-3262を10日間連続投与した時の尿中及び糞中排泄パターンは1回投与の場合と同様で蓄積性は認められなかつた.
9. 授乳中のラットに14C-T-3262を投与した場合, 乳汁中へは血中濃度に比較し, より高濃度に移行した。

著者関連情報
© 公益財団法人 日本感染症医薬品協会
前の記事 次の記事
feedback
Top