環境感染
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Clostridium diflicile関連下痢症における再発の予測
高橋 利弘丸山 久美子
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キーワード: 再発
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2006 年 21 巻 4 号 p. 254-257

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抄録

Clostridium difficile関連下痢症 (以下, CDAD) は文献的に15~20%の再発が報告されており, 患者のquality of lifeの低下や, 在院日数の延長, 医療費の増加など様々な問題が生じている. そこで今回は, 当院で2005年4月~7月の期間 (観察期間は9月まで) にCDADと診断された患者29名を対象とし, CDAD再発患者 (9例) の臨床データ, VIDAS Assay kit CDA2を用いたToxin Aの測定値をまとめ, 単回発症患者 (20例) と比較することにより, これらからCDADの再発が予測できるかどうかを検討した. その結果, 単回発症群と再発群では臨床データに明らかな違いは見出せなかったが, 診断時のToxin Aの測定値は単回発症群: 8.3±2.2, 再発群: 20.9±2.2であり, 再発群で有意に高かった (p<0.05). 菌量を同一にするため, McFarland 3.0の菌液に調整後の測定では両群間に有意な差はなく (3.0±1.0, 2.8±1.8), 菌量の差が再発に影響している可能性が高いことが示唆された. 以上の結果より, VIDAS Assay kit CDA2を用いたToxin Aの測定は再発の予測に役立ち, 適切な治療に結びつくと考えられた.

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© 日本環境感染学会
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