東海北陸理学療法学術大会誌
第27回東海北陸理学療法学術大会
セッションID: O-38
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COPD患者の6分間歩行試験中の動的肺過膨張の程度と労作時低酸素血症の関連性
*三嶋 卓也小川 智也渡邉 文子有薗 信一平澤 純古川 拓朗手塚 恵工藤 正太菅原 好孝石川 朗
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抄録

【目的】 COPD患者では閉塞性換気障害に関連して労作時に動的肺過膨張がしばしばみられ、これは最大 吸気量(IC)の減少で示される。動的肺過膨張は運動耐容能や呼吸困難の程度、生命予後と関連すると 報告されている。さらにCOPD患者では労作時には低酸素血症を来していることがあり、労作時低 酸素血症は日常生活の中でも頻繁に起きている。そこで本研究ではCOPD患者における6分間歩行 試験前後の呼吸機能と労作時低酸素血症の関連を検討した。 【方法】 対象は男性COPD患者16名(年齢71.2±8.7歳、BMI 23.2±2.7、%FEV1.0 75.2±23.8%)。評価項目は安静時呼吸機能検査(スパイロメトリー、肺拡散能)、安静時血液ガス分析、6分間歩行試験(6MWT)、6MWT前後のスパイロメトリーである。6MWT前後のスパイロメトリーは各指標(VC、IC、TV、ERV、IRV)の変化量を算出した。6MWTの開始前と終了後の3分間、試験中6分間の計12分間におけるSpO2を測定し、最大値と最低値の差を算出した。統計学的解析はSpO2の低下の程度と各測定項目との単相関関係をPearsonの積率相関係数を用いて検討し、さらにSpO2の低下の程度を従属変数、有意な相関関係のあった項目を独立変数とする重回帰分析(stepwise法)を実施した。なお、統計解析ソフトはSPSS statistics 17.0を使用し、有意水準は5%とした。 【結果】 対象者の重症度はGOLD分類において軽症または中等症が多くを占めた。SpO2の変化と呼吸機能 との単相関関係を検討した結果、%DLco(r=-0.667、p<0.01)とΔIC(r=-0.54、p<0.05)が有意な相関関係を示した。さらに重回帰分析の結果、%DLco、ΔICの両者が採択された。 【考察】 COPDにおけるSpO2の低下にDLcoが関連することに関して、肺拡散能の低下が要因であると考える。ΔICはICが減少することで動的肺過膨張が起こり、換気制限が生じたためにSpO2の低下 が起きたと考える。 【まとめ】 COPD患者の6MWT中のSpO2低下量は安静時の肺拡散能力と運動中の動的肺過膨張が強く影響する。

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© 2011 東海北陸理学療法学術大会
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