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第126回日本森林学会大会
セッションID: A15
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林政部門
持続可能な林内放牧の現状と課題?宮崎県諸塚村と山口県防府市の山本牧場を事例に?
*定行 祐李興梠 克久
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抄録

 近年、放置林の増加等中山間地域における自然資源の荒廃が問題になっている。中山間地域における自然資源の持続可能な管理の方法として林内放牧が注目されているが、先行研究では林内放牧の持続可能性は必ずしも明らかにされているとは言えない。そこで本研究では、林家と畜産農家が協力し村ぐるみで林内放牧に取り組む宮崎県諸塚村と、一経営体が林内放牧に取り組む山口県防府市の山本牧場に対し聞き取り調査を行い、林内放牧を活用した持続可能な農林複合経営の存立条件と課題について考察する。
 諸塚村と山本牧場の比較の結果から、持続可能な林内放牧の特徴は①壮齢林の強度間伐等により、条件の良い新植地に放牧地を移動しなくても放牧が可能であること、②一経営体内で林業と畜産業を行い、林家と畜産農家の間での調整の難しさ(主として経費負担を巡る合意等)を回避していることだと考えられる。
 また、山本牧場での聞き取り調査により、林内放牧を活用した農林複合経営は、林業部門においては下刈り、間伐、路網整備、特用林産物の成長促進に効果を発揮し、土地や機械の共用による経費節減や家族労働力の1年を通じた完全燃焼に効果があるということが分かった。

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