人工知能学会全国大会論文集
Online ISSN : 2758-7347
第37回 (2023)
セッションID: 4Xin1-76
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AI絵画作品の美的評価におけるバイアスおよび道徳性との関連
*小野塚 暁世浅野 倫子
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抄録

AIが生み出す創作物を人々がどう捉えるかについての理解を深めることは, 社会におけるAIの創造的な活用を目指す上で重要である。本研究では, 人工知能(AI)と人間による絵画作品の美的評価に対し, 作品のもつ道徳性がどのように影響するかについて検討した。実験で参加者は道徳的意図が操作されたAIと人間の絵画作品の魅力について評価した。参加者を二分したうち, 評価群の参加者には各作品の制作者(AIまたは人間)が開示され, 残りの参加者である推定群には開示されなかった。推定群の参加者は, 美的評価課題に続き, 評価した作品の作者がどちらであるか予測する推定課題に取り組んだ。実験の結果, いずれの作者の作品においても道徳性の高い作品がより魅力的であると評価され, 視覚的な美的評価にはその作品が意図する道徳性が関係することが明らかとなった。また作者推定の結果から, 道徳性が高い文脈の作品ほど人間の創作物だと推定され, 反対に道徳性の低い文脈を持つ作品はAIに 結び付けられやすい傾向が示唆されたことから, AIの意図性が受容されていたとしても, AIは道徳的な自律性が不十分な存在だと捉えられている可能性が示された。

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© 2023 人工知能学会
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