人工知能学会全国大会論文集
Online ISSN : 2758-7347
第37回 (2023)
セッションID: 1L3-OS-17-05
会議情報

残差学習に基づく地震波形紙記録からの低周波微動の検出
金子 亮介*長尾 大道伊藤 伸一鶴岡 弘小原 一成
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

1995年兵庫県南部地震を契機に、わが国には二千点を超える地震計からなる観測網が整備され、それにより「スロー地震」と呼ばれる通常の地震とは異なる地球内部起源の振動現象が発見された。スロー地震はプレート境界型の大地震発生と関連すると強く推認され、中でも「低周波微動」と呼ばれる微弱な振動は、かなりの高頻度で発生している。大地震が100〜200年周期で発生していることから、現代の地震観測網が整備される以前の昔の地震計によって記録された微動を調べることは極めて重要である。 本研究では、残差学習器(ResNet)を用いて、半世紀前に東京大学地震研究所の熊野観測所(三重県)の地震計によって紙に記録された地震波形からの微動の検出を試みた。実際の紙記録を模した人工画像に基づく事前学習、およびHi-netデータから生成した地震波形画像に基づくファインチューニングを行ったところ、現代のデータに基づく検証において98%以上の正答率で微動を検出できることを確認した。最後に、熊野観測所において1966〜1977年に得られた地震古記録に学習済みResNetを適用し、当時の微動を網羅的に検出することに成功した。

著者関連情報
© 2023 人工知能学会
前の記事 次の記事
feedback
Top