人工知能
Online ISSN : 2435-8614
Print ISSN : 2188-2266
人工知能学会誌(1986~2013, Print ISSN:0912-8085)
アクション言語Aにおける行動規則の学習(人工知能学会論文誌アブストラクト)
坂東 秀之井上 克巳鍋島 英知
著者情報
解説誌・一般情報誌 フリー

2003 年 18 巻 5 号 p. 606_2

詳細
抄録

状態変化やアクションを表現する研究において,近年用いられているアプローチの一つがアクション言語である.それは,形式言語を用いてアクションによる状態の変化を宣言的に記述する形式的なモデルである.エージェントがアクション言語を用いてプランを生成するためには,問題領域に対する知識として,すべてのアクションの前提条件と効果を完全に表現しておく必要があるが,現実の問題においては,問題領域に対する知識をあらかじめ完全に記述しておくことは困難である.このことから,環境との接触により得られる情報や,ある未知のアクションを実行した後の新たな観測結果などから,そのアクションの効果を推定することのほうが現実的であり,これは行動規則の帰納問題として定式化することができる.しかしながら,行動規則の帰納問題に対する従来の解決は,ある状態で一つのアクションを実行した後の観測結果から,そのアクションの効果を学習するものであった.しかし一般には,一つのアクション実行後の観測結果だけからは適切な規則が得られるという保証はなく,得られた観測結果は実は複数のアクションからなるアクション列を実行したことにより得られている可能性がある.そこで,本研究では最も基本的なアクション言語洲を対象とし,不完全な領域記述とその領域における単数または複数のアクション実行後の観測結果から新たな行動規則を学習する方法を提案する.言語メと有限オートマトンとの表現力とが等価であることに基づき,学習のアプローチとして,有限オートマトンの学習アルゴリズムを採用し,それを拡張することにより学習を行う.本橋で提案する行動規則の学習アルゴリズムは,ある特定の観測結果を導くアクション列の集合を代表例集合とし,それと矛盾する観測結果を導くアクション列の集合を負例集合とすることにより,複数のアクションを扱うことを可能としている.これらの代表例集合,負例集合より観測結果の遷移を表すオートマトンを生成し,それより言語ドにおける行動規則を獲得する.

著者関連情報
© 2003 人工知能学会
前の記事 次の記事
feedback
Top