1997 年 17 巻 3 号 p. 255-258
患者は, 下顎の非対称を主訴として来院した24歳の女性で, 外科手術併用による矯正治療を計画した.当初, 全身麻酔下での下顎枝矢状分割術を前提に術前矯正を開始したが, 患者は重篤な気管支喘息の既往があり, 全身麻酔時の気道刺激が重篤な喘息発作を誘発する危険性が高いと判断された.そこで治療の主目標を咬合の改善におき, 局所麻酔下に下顎骨体部分切除術を施行した.術中, 術後を通じて喘息発作は認められず, 咬合状態, 顔貌ともに著明に改善された.