九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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第27回九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
会議情報

当院急性期リハからの連携
添書に関するアンケート調査を通して
*長野 由紀生野 めぐみ松澤 かおり小石 鉄平児玉 浩志森崎 亜紀山下 正憲永冨 裕文
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キーワード: 添書, 連携, 情報交換
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p. 5

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抄録

【はじめに】
近年、リハビリテーション(以下リハ)医療における改革はめざましく、その施策を捉えた患者主体のリハが勧められ、連携構築が急務となっている。
当院は大分県中心部に位置し、主に脳卒中患者に対して急性期治療・早期リハを行っている。
治療終了後、当院では転院時の情報交換として主に添書を用いている。その充実を図る事で一貫したリハ提供が出来、早期自立支援に結び付くのではないかと考え、アンケートを実施した。
【対象と方法】
対象;当院より転院が考えられる大分県25施設128名の作業療法士
方法;無記名記述方式によるアンケート
内容;1)活用度2)書式や内容の評価・改善点3)ほしい情報等4)転院後の情報交換の検討5)要望
【結果】
13施設81名(回収率63%)より回答を得、以下に概略を述べる。
1)活用度;頻繁・時折活用84%
活用方法;初期評価・情報収集・合同面接・家族面談等(施設により異なる)
2)書式;よい・普通55%
内容;よい・普通53%
改善点;簡潔さ、情報検索の容易さ、評価・経過以外に環境面・方向性・目標・今後の課題を書くとよい等。
3)ほしい情報;上位より「経過」「転院時訓練」「転院時評価・問題点・ゴール」「初期評価・問題点・ゴール」「意欲向上のポイント」
これらを時期別に比較すると傾向を認めた。
a)急性期;「経過」を始めとして、リスク等「医学的情報」、反応を引き出す「意欲向上のポイント」、再評価の時間短縮の為「詳細な評価」等を知りたい。
b)回復期;「経過」を中心に、家族・生活背景・ADL・IADL等「全般的情報」又、具体的「残る課題」「継続して欲しい事」等を知りたい。
c)維持期;患者needs・demandに対しての「訓練」「ADL」「経過」をみて今後に生かしたい、「家族の情報」「残る課題」等を知りたい。
d)老人保健施設;「経過」、回数や運動量等「具体的訓練」の他、「リスク管理」等を知りたい。
4)転院後の情報交換の検討;可能67%
手段;メール・FAX・手紙・電話等
その他;「必要だが方法は未定」「現況では困難」等
5)要望:信頼関係を構築し、安心して紹介しあえる仲間が増えると良い。
【考察と取り組み】
調査より、添書は連携ツールとして積極的な利用が可能で、求める情報は各時期・施設・患者で異なる事から、工夫する必要を感じた。
そこで書式を変更し、必要に応じて項目の追加・削除が出来るよう個別性に配慮し、記述方法も具体的に、対他職種等にはわかり易い用語とした。
また、転院後の情報交換に対して関心の高さが伺えた。リハにおいて急性期、回復期、維持期各々が患者needsを元に目標を見極め、次へ繋ぐ必要がある。その為にも情報交換は自己研鑚の機会となり、患者様に還元されると考える。今後、交換手段など検討するとともに、各施設間相互の信頼関係を深め、連携を強めていく必要性を強く感じる。

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© 2005 九州理学療法士・作業療法士合同学会
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