神経眼科
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症例報告
網膜内層厚とRAPDx®による対光反射の長期経過を 観察できた外傷性視神経症の2例
後藤 克聡三木 淳司荒木 俊介瀧澤 剛眞鍋 優家木 良彰桐生 純一
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2021 年 38 巻 1 号 p. 30-36

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抄録

 外傷性視神経症(TON)の2例における光干渉断層計による網膜内層厚と相対的瞳孔求心路障害(RAPD)の経時的変化を報告する.

 ステロイドパルス療法後12か月まで経過観察できたTONの2症例.RAPDの定量はRAPDx®によるRAPD振幅(log units)を用い,神経節細胞複合体(GCC)厚は僚眼に対する患眼の減少率(%)を算出した.症例1:57歳,男性.初診時の左眼視力は手動弁で,左眼RAPD陽性だった.GCC厚減少率とRAPD振幅は,初診時:1.1・5.03,1か月:23.3・2.80,3か月:34.4・2.80,6か月:38.9・2.93,12か月:35.6・3.11で,最終視力は0.08だった.症例2:51歳,男性.初診時,左眼視力は手動弁で,左眼RAPD陽性だった.GCC厚の減少率とRAPD振幅は,初診時:0.9・6.51,1か月:19.8・3.39,3か月後:28.8・2.71,6か月:31.0・2.60,12か月:31.0・2.20で,最終視力は1.2だった.

 TONの早期診断にはRAPDの検出が有用であり,網膜内層厚とRAPDの経過は乖離した.

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© 2021 日本神経眼科学会
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