砂防学会誌
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地形解析による山崩れの研究 (II)
雨量と山崩れの関係
大村 寛高橋 敏男
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1976 年 29 巻 1 号 p. 23-30

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抄録

山地を単位斜面の集合体とみなすと,山地における斜面の安全率は確率分布を示すと考えられる。降雨の影響で安全率の分布は移動拡散するが,その結果,安全率が1未満になった部分の全体に対する比率は崩壊率に等しい。降雨前の安全率の分布は降雨時の分布に影響し,平均値と標準偏差が小さければ,崩壊率と降雨量に対する崩壊率の勾配,すなわちその伸び率は高い。安全率の中で抵抗力の逆数項が時間雨量に比例した確率で増加すれば,その増分R1の降雨時における確率密度分布を求めることができる。特に時間雨量が一定ならR1は二項分布で与えられ,連続雨量と崩壊率の関係が得られる。これにより,七夕豪雨で崩れた日本平西斜面の崩壊率を推定した。時間雨量が一定でない場合はモンテカルロ・シミュレーションによってR1の確率密度分布が得られ,降雨の時系列に応答する崩壊個数の動向を推測することができる。

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