1996 年 65 巻 4 号 p. 392-396
従来の超伝導体の磁場・温度相図には,下部臨界磁場と上部臨界磁場の2つの相境界のみしかなかった.高温超伝導体の発見を機に,多くの特徴的な線がこの相図に書き加えられてきた.高温超伝導体の持つ高い超伝導転移温度・短いコヒーレンス長・層状構造による大きな異方性といった特徴が濃縮されたBi2Sr2CaCu2O8+yを舞台に,高温超伝導体の真の磁場・温度相図を決定する研究が着々と進歩している.本稿では,微小ホール素子を用いた実験を中心に,Bi2Sr2CaCu2O8+yの磁場・温度相図に関する研究を紹介する.