2021 年 90 巻 8 号 p. 499-503
社会やビジネスのディジタル革新に伴い,より高度で複雑な大量データを高速に処理するコンピュータが求められている.ムーアの法則が限界に近づく中,アプリケーションに特化したドメイン指向コンピューティングや量子コンピュータへの期待が増している.デジタルアニーラは,量子現象に着想を得た「組合せ最適化問題」を高速に解くことができるディジタル回路であり,ドメイン指向コンピュータの1つである.本稿では,まず現在の第3世代のデジタルアニーラの特徴を簡単に説明し,最近の分子構造類似度,電池材料開発,創薬応用の研究事例を通して,材料開発・創薬分野でのデジタルアニーラの活用の一端を紹介する.