本稿では,社会福祉の仕組みを批判的に分析することによって,ソーシャル
ワーカーの理論や実践の発展に役立つ「ソーシャルワーカーの社会学」を提起
する.ソーシャルワーカーは自らの権力性を用いて,対象者を支援も支配もで
きる裁量を持つ存在である.地域変革を実現したソーシャルワーカーは,個人
の問題の背後にある構造変動やその力学を見抜くという「社会学的想像力」を
活かして,自らの実践を変容させてきた批判的実践者でもある.福祉社会学や
社会福祉学の研究者は,批判的実践やその実践者を支える実践的批判者である
ことが求められている。これらの整理を通じて,「ソーシャルワーカーの社会学」
の可能性を提起した.