2017 年 66 巻 1 号 p. 9-16
Bifidobacterium spp.による非天然の新規合成二糖類(N-acetylsucrosamine,以下,SucNAc)の資化性を調べたところ,単一炭素源としては利用しないが,グルコースの共存下で利用するBif. catenulatumと単独で利用するBif. pseudocatenulatumを見出した。Bif. catenulatumの培養では,二段階の増殖が見られ,グルコースが利用された後にSucNAcが利用された(ジオーキシ)。菌体抽出液による糖質分解活性を見ると, Bif. catenulatumでは,元来,糖質分解酵素の構成的発現が乏しく,SucNAcが炭素源として利用されると新たな酵素活性の発現が見られた。これに対し, Bif. pseudocatenulatumでは,元来,多様な糖質分解活性が構成的に発現していた。単独では使われないSucNAcがグルコースの共存下で利用可能となる機序について明らかにすることは,糖質の利用に関してより深い理解につながると考えられた。