ミルクサイエンス
Online ISSN : 2188-0700
Print ISSN : 1343-0289
ISSN-L : 1343-0289
原著論文
Bifidobacterium spp.による非天然の新規合成二糖類―N-acetylsucrosamine―の資化
李 夢秋宮沢 幸敬趙 岗廣川 侑実入江 友啓鈴木 公一川井 泰増田 哲也小田 宗宏
著者情報
ジャーナル フリー

2017 年 66 巻 1 号 p. 9-16

詳細
抄録

 Bifidobacterium spp.による非天然の新規合成二糖類(N-acetylsucrosamine,以下,SucNAc)の資化性を調べたところ,単一炭素源としては利用しないが,グルコースの共存下で利用するBif. catenulatumと単独で利用するBif. pseudocatenulatumを見出した。Bif. catenulatumの培養では,二段階の増殖が見られ,グルコースが利用された後にSucNAcが利用された(ジオーキシ)。菌体抽出液による糖質分解活性を見ると, Bif. catenulatumでは,元来,糖質分解酵素の構成的発現が乏しく,SucNAcが炭素源として利用されると新たな酵素活性の発現が見られた。これに対し, Bif. pseudocatenulatumでは,元来,多様な糖質分解活性が構成的に発現していた。単独では使われないSucNAcがグルコースの共存下で利用可能となる機序について明らかにすることは,糖質の利用に関してより深い理解につながると考えられた。

著者関連情報
© 2017 日本酪農科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top