2018 年 61 巻 2 号 p. 129-132
本研究では,急傾斜水田畦畔におけるヤギの除草利用について検討を行った.傾斜35~50°の水田畦畔(1.6 a)において,去勢ヤギ1 頭を2012年6月2日から8 日間放牧した.試験地内の各傾斜角度(35~40°,40~45°および45~50°:G,M およびS 区)におけるヤギの採食回数(観察度数)と各区の面積割合から算出した期待度数は,3 回の行動観察において一致せず(P<0.01),傾斜角度が最も小さいG 区の利用は少なく,むしろ傾斜角度の大きいM 区の利用が多くみられた.また,最も傾斜が急なS 区でも,放牧したヤギが傾斜45~50°の水田畦畔を移動し,採食や休息する状況が観察され,試験地の植物現存量は入牧時に比べ,退牧時に減少し,ヤギによる除草効果が認められた(P<0.01).以上より,35~50°の急傾斜水田畦畔におけるヤギの除草利用は有効である可能性が示された.