2015 年 78 巻 3 号 p. 174-181
ハロゲン化銀結晶表面下には格子間銀イオン過剰層からなる空間電荷層が存在するため,臭化銀微粒子は高イオン伝導度殻部と低イオン伝導度核部からなる2重構造粒子とみなせる.電気的2重構造粒子の誘電損失応答を記述したPaulySchwan/Hanai理論をこの系に適用して,誘電損失応答の粒子サイズ依存性を計算で求めた.計算と対応させるために臭化銀微粒子の誘電損失応答を測定したところ,良い一致をみた.両者の対比から,高イオン伝導度を示す空間電荷層の厚みを約0.06μmと見積もった.