従来より水圏や土壌など自然環境中の従属栄養性細菌の大部分が培養できないことが, 培養法と直接計数法との大きな差によって知られていた。したがってこれらの細菌はViable but non culturable (VBNC) 状態にあるとの認識が生まれるとともに, 遺伝子解析や蛍光染色法など, 培養によらない解析手法の急速な発達によって, これらの細菌の研究が大きく進みつつある。archaebacteriaから原核生物に至るまで16SrRNAに進化の過程で重要機能のため, 保存された塩基配列領域が数カ所認められ, 約20塩基長のオリゴマーとして存在する。これらの保存領域に挟まれた数百塩基長のRNA配列は, 属あるいは種として従来からの分類学上規定される特異的な菌の集団におおむね一致して同じ配列がみられる。この領域を活用して原因菌を検出する新しい臨床微生物学が始まった。