2000 年 43 巻 3 号 p. 220-224
感染対策の基本は, 患者の人権を尊重し, コストベネフィットを考慮し, かつ科学的な根拠に基づく方策でなくてはならない。非科学的で誤った過剰な予防策の実施は, 患者や医療従事者に有害であるばかりか経済的にも不合理なものとなる。感染対策としての環境微生物汚染の調査, 入院時や術前のスクリーニング検査, 一律な予防策の実施などを見直して, 既知の感染症の有無にかかわらず, すべての患者に対して適応できる有効なバリアプリコーションの確立が求められている。一方では, 医療従事者が職務上で重大な疾患に感染するという痛ましい職業感染の報告が散見され, スタッフの安全対策にも目を向けていかなくてはならない状況にある。