耳鼻咽喉科展望
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当科におけるアレルギー性副鼻腔炎症例について
分藤 準一黒野 祐一茂木 五郎
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1996 年 39 巻 Supplement1 号 p. 61-64

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抄録

当科におけるアレルギー性副鼻腔炎症例の実態を把握すべく, 鼻アレルギー患者の鼻部X線検査における副鼻腔陰影型と, 上顎洞粘膜の組織学的検討を, retrospectiveに行った。対象は, 平成3年1月より平成7年3月まで当科を受診した鼻アレルギー患者446名とした。その内229名 (51.3%) に副鼻腔陰影を認めたため, 陰影型を3種類に分類したところ, 粘膜肥厚型は116例 (50.7%), ポリープ型は59例 (25.8%), 瀰漫型は54例 (23.5%) であった。また, 26名の成人例に鼻内内視鏡手術あるいは副鼻腔根本術が施行されており, 得られた上顎洞粘膜の組織学的検討を行った。上顎洞粘膜の組織型としては, 浮腫型が9例 (34.6%), 繊維型が10例 (38.5%), 浮腫繊維の混合型が7例 (26.9%) であった。組織学的所見としては, 粘膜上皮層の杯細胞の増加, 上皮下基底膜の肥厚, 粘膜下固有層の浮腫性肥厚, 好酸球を主体とした浸潤細胞の増加, 腺分泌の亢進などの特徴が認められた。これらの所見より, 炎症性肥厚を生じた副鼻腔粘膜においても。I型アレルギー反応が生じている可能性が示唆され, 臨床症状や副鼻腔の陰影改善のための鼻アレルギーに準じたアレルギー治療の必要性が示唆された。

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