1993 年 36 巻 5 号 p. 591-594
ビスマスヨードホルムパラフィン軟膏 (BIPP) は1916年より創傷の治療剤として用いられており, イギリスでは乳突削開腔のパッキングにも用いられてきた。Chevrettonらは本軟膏が感染予防に他剤よりも優れていると報告している。
1992年2月より同軟膏を調剤し31例の乳突開放型鼓室形成術 (openmethod) あるいは中耳根本手術再手術後の乳突腔のパッキングに追試したところ, 術後感染防止に極めて有効であった。本剤の使用は, 中耳手術後の抗生剤の投与を減量することができ, 患者の負担を軽減しうると考えられた。本邦では本剤はあまり普及していないようなので使用経験を報告した。