耳鼻咽喉科展望
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臨床
耳下腺原発の基底細胞腺癌の1例
内水 浩貴山田 裕子森 恵莉柳 清
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2011 年 54 巻 5 号 p. 267-272

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抄録

今回我々は非常に稀な耳下腺に発生した基底細胞腺癌の1例を経験したので, 文献的考察を含め報告する。
症例は73歳男性。数年前から徐々に増大する左耳下部腫瘤を主訴に来院した。初診時には左耳下部に可動性良好な約40×30mmの弾性硬の腫瘤を触知した。疼痛や顔面神経麻痺は認めなかった。穿刺吸引細胞診ではclass IIIであり, MRI所見では悪性腫瘍の可能性も示唆された。2011年4月27日に腫瘍摘出術を施行した。腫瘍は顔面神経や周囲組織との癒着もないため, 顔面神経を温存し摘出した。病理組織学的検査にて基底細胞腺癌と診断された。術後にPET-CTなどを施行したが局所再発やリンパ節転移を示唆する所見は認めなかったため, 頸部郭清術などの追加治療は行わず経過観察とした。
術後4ヵ月を経過した現在も再発は認めていないが, 基底細胞腺癌は局所再発が比較的高いと考えられているため, 引き続き厳重な経過観察が必要である。

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