耳鼻咽喉科展望
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臨床
眼窩尖端部へ進展した副鼻腔真菌症の1症例
高宮 優子飯村 慈朗今野 渉月舘 利治深美 悟平林 秀樹春名 眞一
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2008 年 51 巻 5 号 p. 308-313

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抄録

64歳男性に左視力障害・左眼痛が出現し, 原因不明の視神経炎と診断してステロイドパルス療法を施行したが改善せずに失明した。5ヵ月後には左外転神経麻痺・動眼神経麻痺が出現しCT, MRIで左眼窩尖端部に骨破壊を伴う腫瘤性病変を認めた。悪性腫瘍を疑い内視鏡下鼻内アプローチにて生検術を施行したところ, アスペルギルスによる浸潤型副鼻腔真菌症であった。抗真菌薬を投与するも真菌感染が頭蓋内まで波及し, さらに全身状態が悪化し死亡した。
本症例は画像上明らかな異常を認めるまで原因不明の視神経炎として加療された。視力障害の鑑別診断には浸潤型真菌症も念頭におき, 疑いがあれば内視鏡を用いて鼻内アプローチによる生検術を施行するべきである。

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© 2008 耳鼻咽喉科展望会
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