杏林医学会雑誌
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後天性 Cytomegalovirus 感染症及び水頭症に罹患し Bartter 症候群を発症した極小未熟児の 1 例
長谷川 典子長谷川 和子宗玄 俊一松田 博雄内ケ崎 新也中村 敬
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1986 年 17 巻 4 号 p. 577-583

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抄録

症例は日齢185(修正3ケ月)の男児。在胎27週, 1200gにて出生し, IRSDのため日齢15まで呼吸管理施行され, 後天性CMV感染症・水頭症を併発した。頭部エコーでで頭蓋内出血は認められず, 体重増加不良で, 日齢110頃より, 補正困難な低K・Na・Cl血症をきたしたため, 精査および短絡手術の目的にて当科入院となった。入院時2150gと著明なるい痩, 前額の突出した特有の顔貌を呈していた。短絡手術後も低K・Na・Cl血症は持続し, 血漿renin活性・血中aldosterone・angiotensin IIが高値であり, 代謝性alkalosisで高血圧のないことより, Bartter症候群と診断した。Aldacton-Aの投与により, 低K血症は改善したが, 日齢293, 化膿性髄膜炎にて死亡した。剖検にて傍糸球体装置の過形成と尿細管の水腫様変性, 間質性腎炎が認められた。極小未熟児にて出生したBartter症候群の1例と思われるので報告する。

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© 1986 杏林医学会
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