主催: (一社)日本家政学会
会議名: (一社)日本家政学会第69回大会
回次: 69
開催地: 奈良女子大学
開催日: 2017/05/26 - 2017/05/28
【目的】クロロフィルの緑色は、野菜や緑茶の新鮮さや美味しさの重要な要素となっている。しかし、食品中のクロロフィルは光に弱く、すぐに退色することが知られている。本研究では、クロロフィルの光退色抑制を目的とし、界面活性剤を用いてクロロフィルの凝集状態を調べ、光に対する効果を調べた。
【方法】クロロフィルとしてクロロフィル-aを用い、0.1 %界面活性剤水溶液(Triton X)に溶解した。クロロフィルの凝集状態については、吸収スペクトル、蛍光スペクトル、円偏光二色性(CD)スペクトルにより調べた。さらに、クロロフィルに紫外線(366 nm)を照射し、その後の色差を測定した。
【結果】クロロフィル溶液の吸収スペクトルを測定した結果、Triton Xの濃度が高いほど743 nmの吸光度が低くなり、669 nmの吸光度が高くなることがわかった。このことから、Triton Xの濃度が低いとクロロフィルの凝集体が形成され、逆に濃度が高いとモノマー(単分子)となることが明らかになった。蛍光スペクトルやCDスペクトルの実験からも、同様の結果が確認された。さらに、クロロフィルに光照射をした結果、低濃度のTriton Xを用いた場合、つまり、クロロフィルが凝集体を形成することで光退色を抑制することが明らかとなった。