日本家政学会誌
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山梨県内3校の中学生における食行動や食意識に及ぼす食事環境の影響
松本 晴美
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2000 年 51 巻 6 号 p. 489-496

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抄録

中学生では適切な生活習慣や食行動・食意識により健康を高めている者がいる一方で, 家庭や社会での健康阻害要因により心身の不調を訴える者も多い.そこで, 望ましい食習慣を確立するための要因を明らかにすることを目的に, 山梨県内3中学校の1年生94名, 3年生98名, 計192名 (男子98名, 女子94名) を対象に質問紙調査を行った.結果は以下のとおりである.
(1) 中学生の食行動や食意識に影響を及ぼす因子の分析を行い, 五つの基本因子を抽出した.第1因子は「共食」, 第2因子は「食事作り」, 第3因子は「充実した食事」, 第4因子は「体型」, 第5因子は「ダイエット」であった.
(2) 各因子に関わる設問項目では,,第1因子のうち「孤食」の割合, 第2因子, および第3因子のうち「バランスのよい食事をとろうと思っている」と「食事中楽しいと思うことが多い」で, 学校間に有意差が認められた.また, 第3因子に関する4項目のうち3項目で, 年齢間に有意差が見られ, 14歳のほうが12歳にくらべて割合が低かった.第4因子のうち理想値のローレル指数による体型と, 第5因子では, 性別で有意差が見られ, 女子は男子よりも割合が高かった.
(3) 八つの摂取食品群のクラスター分析を行った.「共食」者では, 緑黄色野菜と淡色野菜が第1のクラスターを, 果物と牛乳・乳製品が第2のクラスターを, さらに, 肉, 魚, 卵と大豆・大豆製品が海草と第3のクラスターを形成していた.すべての食品群が「孤食」者よりも短い距離で統合していることから, バランスよく摂取されていると考えられた.「孤食」者では, 緑黄色野菜, 淡色野菜, 海草, 大豆・大豆製品が第1のクラスターを, 肉, 魚, 卵と油脂が第2のクラスターを形成し, 果物と牛乳・乳製品はそれぞれ単独であった.タンパク質性食品が油脂とともに摂取されており, 無機質, ビタミンを多く含む食品群とは別のクラスターに属していることから, 食事がいずれかに偏りやすいことが示された.

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